高い耐震性能・優れた排水性能を共に備えた箱型擁壁工法は全国各地で採用されています。

粘着力Cを考慮した試行くさび法の検証結果

箱型擁壁設計では試行くさび法による土圧算定で粘着力Cを見込んでいるが、これが妥当であるかを関東ロームの実験結果を対象に検討した。
関東ロームの三軸圧縮試験および遠心載荷実験後に採取した試料による一面せん断試験の結果を表に示す。試験方法によるばらつきもあるが、ロームのせん断抵抗角は全応力でφ=3~26゜、有効応力でφ=19~33゜であった。

関東ロームの室内試験結果( CASE 2 )

試験方法 乾燥密度
ρd(g/cm3)
全応力 有効応力
粘着力c(kN/m2) せん断抵抗角φ(゜) 粘着力c(kN/m2) せん断抵抗角φ(゜)
三軸※1 0.641 0.5 25.9 6.7 32.6
一面せん断※2 0.625 88.8 3.6 19.2 19.3
0.661 71.4 11.5 14.2 20.0
0.642 84.0 7.1 14.7 20.5

※1 事前締め固め試料  ※2 遠心実験後の採取試料



関東ロームの地盤パラメータを、cを見込まずc=0kN/m2、φ=35゜とした場合とc=10kN/m2を考慮してφ=25゜とした場合の2ケース取り上げ、試設計を行った(下記表参照)。計算結果も同表に併せて示す。cを見込まずc=0kN/m2、φ=35゜とした場合、設計上の限界擁壁高さは5mとなり、一方、c=10kN/m2を考慮してφ=25゜とした場合には、限界擁壁高さは9mとなる。
これまで述べてきたように、関東ロームの実験では、設計より大きな加震レベルの神戸波加震においても壁高14mで安定が確保されており、cを見込まないφ=35゜での限界高さ5mでは実験結果と整合しない。また、これまでの1200件を超える施工実績において、箱型擁壁の設計は土質試験に基づき粘着力cを考慮して行ってきたが、地震で崩壊した事例は無い。

検討ケース せん断抵抗角φ(゜) 粘着力c(kN/m2) 設計で求まる
限界擁壁高さ(m)
  実験で安定が
確保された高さ(m)
検討ケース1 35 0 5 << 14
検討ケース2 25 10 9 < 14

以上の事実より、背面土の粘着力cを設計上考慮することはある程度妥当であると判断される。但し、粘着力cを過大に見込むと背面土圧がほとんど作用せず危険側の判断となるため、その取扱いには注意が必要である。


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